官公需とは、国や地方公共団体、独立行政法人などの公的機関が物品の購入・工事の発注・役務の調達のために行う需要をいう。
公的機関が一年に発注する物品・工事・役務は巨額にのぼり、この公需要をどう配分するかは中小企業や地域経済の浮沈に直結する。官公需は、こうした公的機関の調達需要そのものを指す概念であり、民間どうしの取引(民需)と区別して用いられる。発注機関の側から見れば調達の対象であり、受注を狙う事業者の側から見れば獲得すべき市場である。
この語が実務で重みを持つのは、官公需確保法が「中小企業者の受注機会の拡大に配慮せよ」と発注機関に努力義務を課しているためである。国は毎年度「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」を閣議決定し、官公需総額に占める中小企業向けの契約目標額を掲げる。地方公共団体もこれに準じて、分離・分割発注や地元業者への優先発注といった配慮を行う。
官公需の世界では、競争性・公正性の確保と、中小企業・地元への配慮という二つの要請が常に綱引きをする。前者を突き詰めれば価格と能力だけで相手を選ぶことになり、後者を突き詰めれば競争が制限される。発注担当者はこの均衡を、各種の制度(官公需適格組合の活用、分離発注、共同受注など)を使い分けて取らなければならない。
中小企業向け契約目標と基本方針
官公需確保法に基づき、国は毎年度「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」を閣議決定する。この基本方針では、当年度の官公需総額の見込みと、そのうち中小企業者向けに発注する契約の目標金額・目標比率を定める。近年は官公需総額のおよそ六割を中小企業者向けとする目標が掲げられてきた。各省庁・独立行政法人はこの方針に沿って契約実績を国に報告し、中小企業庁が実績を取りまとめて公表する。地方公共団体は法の名宛人としては努力義務にとどまるが、独自に中小企業者・地元業者への発注方針を要綱や調達方針で定め、官公需の地域内循環を図る団体も少なくない。
中小企業の受注を広げる具体的手法
官公需における中小企業配慮は、理念だけでなく発注実務の具体的な工夫として現れる。代表的なのが分離・分割発注で、一件を大規模にまとめず工種や区域ごとに分けて発注することで、中小企業が単独で受注できる規模に整える。また、複数の中小企業が共同で受注体制を組む官公需適格組合(中小企業庁長官が証明した組合)を活用すれば、単独では満たせない実績・資力要件を組合として満たし、大型案件にも参加できる。物品調達では分離発注、工事では地域要件付き一般競争入札なども用いられる。ただしこれらの配慮は競争性の制限と表裏であり、随意契約基準の潜脱(違法な分割発注)との線引きが常に問われる。
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