勘案事項とは、障害福祉サービスの支給決定にあたり、市町村が障害支援区分のほかに考慮しなければならない事項で、本人の介護者の状況、置かれている環境、サービス利用の意向、サービス等利用計画案の内容などをいう。
障害福祉サービスの支給決定で、なぜ障害支援区分が同じでも人によって支給量が違うのか。その差を生むのがこの勘案事項である。市町村は、認定調査と医師意見書を経て決まる障害支援区分だけで支給量を機械的に定めるのではなく、本人や家族の状況を含む複数の要素を個別に評価して支給の要否と量を決める。具体的には、介護を行う者の有無や状況、本人の地域生活・就労・日中活動の状況や居住環境、本人および家族のサービス利用に関する意向、そして相談支援専門員が作成したサービス等利用計画案の内容などが勘案事項とされる。支給決定の流れでは、申請を受けて障害支援区分を認定し、計画案の提出を求めたうえで、これらの勘案事項を調査・評価して支給決定に至る。担当者にとっては、勘案事項を聞き取り記録に残すことが支給量の根拠となり、決定の説明責任や不服申立てへの備えにも直結する。
障害支援区分と勘案事項の役割分担
障害福祉サービスの支給決定は、障害支援区分の認定と勘案事項の評価という二つの判断から成る。障害支援区分は、認定調査の結果と医師意見書をもとに審査会の判定を経て決まる、必要とされる支援の度合いを示す指標であり、利用できるサービスの種類や国の費用負担の基準に関わる。一方、勘案事項は、区分だけでは捉えられない個別の事情を支給量に反映させるための要素である。障害者総合支援法の規定に基づき、市町村は支給決定に際して、障害支援区分のほか、介護者の状況、本人の置かれている環境、サービスの利用に関する意向、サービス等利用計画案などを勘案しなければならない。同じ区分でも、同居家族による介護が見込めるか、独居かといった事情によって必要な支給量は変わるため、勘案事項の評価が決定の実質を担う。
支給決定プロセスと記録上の意義
支給決定は、申請の受付、認定調査、障害支援区分の認定、サービス等利用計画案の提出、勘案事項の調査、支給決定という順で進む。市町村は計画案と勘案事項をあわせて検討し、サービスの種類ごとの支給量や支給決定期間を定め、障害福祉サービス受給者証を交付する。勘案事項の調査は、申請者や家族からの聞き取り、相談支援専門員からの情報提供によって行われ、その内容は支給量を導いた根拠として記録に残される。支給量に不満があり審査請求がなされた場合、市町村は何をどう勘案したかを説明する必要があるため、勘案事項の聞き取りと記録の精度が決定の妥当性を左右する。市町村が独自に定める支給決定基準(国庫負担基準とは別の運用上の目安)と勘案事項の関係を整理しておくことも、決定の一貫性の確保につながる。
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