買い物弱者とは、過疎化や高齢化、地元商店の閉店などにより、日常の食料品や生活必需品の購入に困難を抱える人々をいう。
近所の商店が次々と閉まり、車も運転できない高齢者が、食料品をどこで買えばよいのか。この問いに自治体が向き合うとき、対象として浮かび上がるのが買い物弱者である。経済産業省は、流通機能や交通網の弱体化で生活必需品の購入に不便を感じる人々と整理し、その数を全国で数百万人規模と推計してきた。中山間地域だけでなく、大型店の郊外移転で地元商店が消えた都市近郊や、商店街が空洞化した地方都市の中心部でも生じる。対策は、移動販売車の巡回、宅配・買い物代行、デマンド交通による店舗への送迎、空き店舗を使った小型店の誘致など、流通と交通の両面から組み合わせて講じられる。高齢者の見守りや地域コミュニティの維持とも結びつく課題である。
発生の背景と類型
買い物弱者が生じる要因は、大きく流通側と交通側に分かれる。流通側では、人口減少による商圏の縮小、大型店の郊外進出による地元中小小売店の廃業、商店街の空洞化が挙げられる。交通側では、路線バスの減便・廃止、本人の高齢化による運転免許の返納で、移動手段そのものが失われる。両者が重なる中山間地域では深刻だが、都市部でも団地の高齢化や近隣スーパーの撤退で「都市型の買い物弱者」が現れる。食料品アクセスの困難に着目した「フードデザート(食の砂漠)」という概念は、栄養状態の悪化や健康格差の問題としても論じられる。
自治体の対策手法
対策は流通・交通・住民の3つの近づけ方で整理できる。商品を届ける手段としては移動販売車の運行、宅配・買い物代行、御用聞きがある。人を運ぶ手段としてはデマンド交通や乗合タクシーによる店舗送迎、買い物バスの運行がある。店を近づける手段としては、空き店舗や廃校を活用した小型店・コンビニの誘致、移動販売の拠点となる小さな拠点づくりがある。事業者単独では採算が合わないため、自治体が車両購入費や運行費を補助し、社会福祉協議会やNPO、地元商工会と連携して担い手を確保する形が多い。見守りや安否確認を兼ねることで、福祉施策の予算と組み合わせる工夫も見られる。
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