介護保険事業計画とは、介護保険法第117条に基づき市町村が3年を一期として策定する法定計画であり、各年度の介護サービス見込量や地域支援事業の量の見込みと、その確保のための方策を定めるものである。第1号被保険者の介護保険料は、この計画で見込んだサービス量を賄えるよう3年ごとに設定される。
市町村が向こう3年間でどれだけの介護サービスが必要になるかをどう見積もり、その費用を保険料にどう反映させるのか。介護保険事業計画はこの問いに答える制度設計の中核文書である。計画期間中の要介護認定者数や施設・在宅サービスの利用見込量を圏域ごとに推計し、特別養護老人ホーム等の整備目標や地域支援事業の事業量を定める。見込量は給付費の総額を左右し、給付費が増えれば第1号被保険者の保険料基準額が上がるため、計画は財政運営と直結する。老人福祉法第20条の8に基づく高齢者福祉計画と一体のものとして作成しなければならず、両者を合わせて「高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」と呼ぶ自治体が多い。都道府県は市町村計画を広域的に支援する介護保険事業支援計画を策定し、施設の必要入所定員総数などを定める。
計画期間と保険料の連動
介護保険事業計画は3年を一期として策定し、計画期間は第1号被保険者の介護保険料の算定期間と一致する。計画で推計した3年間のサービス見込量から保険給付費と地域支援事業費の総額を見積もり、そのうち第1号被保険者の負担分(第9期では給付費の23パーセント)を被保険者数で割って保険料基準額を導く。したがって介護サービスの整備目標を引き上げれば見込量が増え、保険料基準額の上昇につながる。計画策定は単なる事業量の積み上げではなく、サービス水準と保険料負担の均衡をどこに置くかという政策判断そのものである。
都道府県計画・他計画との関係
市町村が定める介護保険事業計画に対し、都道府県は介護保険法第118条に基づき介護保険事業支援計画を策定する。支援計画は介護保険施設の種類ごとの必要入所定員総数を定め、これを超える施設整備の指定を都道府県が拒否できる根拠となるため、市町村の施設整備に上限の枠をはめる役割を持つ。また市町村計画は老人福祉法の高齢者福祉計画と一体で作成することが法律上義務づけられ、医療計画や市町村地域福祉計画とも調和を保つ必要がある。これらの整合により、医療・介護・福祉の提供体制が一つの圏域単位で接続される。
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