ジチテン

海岸保全施設

読み:かいがんほぜんしせつ

意味

海岸保全施設とは、海岸法に基づき津波・高潮・波浪・侵食から背後地を防護するため海岸保全区域内に設けられる堤防・護岸・突堤・離岸堤などの施設をいう。

海岸沿いの自治体で「この防潮堤は誰が造り、誰が維持しているのか」を問われたとき、その答えの根拠となるのが海岸保全施設という法律上の区分である。海岸法は、津波高潮・波浪・海岸侵食といった海からの脅威に対し背後の人家や農地を守るための工作物を海岸保全施設と定め、その整備・管理の責任を海岸管理者(都道府県知事が原則)に担わせる。具体的には堤防・護岸・胸壁・突堤・離岸堤・人工リーフなどが含まれ、いずれも海岸保全区域の指定を前提に設置・管理される。東日本大震災以降は、設計対象を「数十年から百数十年に一度の津波(レベル1)」に置き、施設で防ぎきれない巨大津波(レベル2)は避難で守るという二段構えの考え方が定着した。自治体の担当者にとっては、施設の点検・長寿命化計画の策定や、災害復旧事業の対象範囲を判断するうえで、ある構造物が海岸保全施設に当たるか否かの切り分けが実務上の起点になる。

海岸保全施設の種類と海岸管理者

海岸法第2条は海岸保全施設を堤防・突堤・護岸・胸壁・離岸堤・砂浜(人工的に養浜したもの)その他海岸を防護する施設と定め、同法に基づく海岸保全区域内に設けられるものに限る。管理は海岸管理者が担い、原則として都道府県知事が、港湾・漁港・農地の保全に係る区域ではそれぞれ港湾管理者・漁港管理者・農林水産部局が分担する。これは一本の海岸線でも所管が施設目的ごとに分かれることを意味し、自治体担当者は対象施設がどの法体系(建設海岸・港湾海岸・漁港海岸・農地海岸)に属するかを確認したうえで点検・補修や災害復旧の窓口を判断する必要がある。

防護・環境・利用の調和と津波対策の二段構え

海岸法は1999年改正で、それまでの防護一辺倒から「防護・環境・利用」の調和を目的に掲げ、海岸保全施設の整備にあたっても親水性や景観への配慮を求めるようになった。さらに東日本大震災を受けた考え方の整理により、海岸保全施設の設計対象を比較的発生頻度の高い津波・高潮(レベル1)とし、これを超える最大クラスの津波(レベル2)に対しては施設だけで防ぎきろうとせず、避難を軸とした多重防御で人命を守る方針が示された。この区分は、堤防の高さをどこまで上げるかという整備水準の判断と、津波避難計画・ハザードマップとの役割分担を考えるうえでの前提となっている。

つながりのある用語

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