ジチテン

可否同数

読み:かひどうすう

別名:議長裁決
意味

可否同数とは、議会の表決において賛成と反対の数が等しくなった状態のことをいう。

議長採決でみずから一票を投じるべきか判断に迷う場面があるのは、可否同数になったときに限って議長が裁決権を行使するという特則があるためである。地方自治法第116条は、議事は出席議員の過半数で決し、可否同数のときは議長の決するところによると定める。これは、議長は通常の表決には加わらず、賛否が同数となった場合に限って裁決を行うという趣旨である。議長の裁決によって議案の可否が確定するため、議長は事実上の決定権を握ることになる。可否同数の状態は、定足数を満たした会議で出席議員の賛否がちょうど半々に割れたときに生じる。議長を除く出席議員が偶数のときに起こりやすく、議会運営上の緊張が高まる局面である。議長がいずれに裁決するかについて法律上の制約はなく、現状維持に傾く慣行があるとされるが、団体や案件によって判断は分かれる。

議長の裁決権の性格

地方議会の議長は、議会の秩序を保ち議事を整理する立場にあるため、通常の表決には加わらないのが原則である。地方自治法第116条第2項は、議長は議員として議決に加わる権利を有しないと明示する。その代わり、可否同数となったときに限って議長が裁決し、議案の可否を確定させる。この裁決権は議長固有の権限であり、放棄したり棄権したりすることはできず、必ずいずれかに決しなければならないと解されている。議長が裁決を行った後は、その裁決が表決の結果となり、別途の投票を重ねることはない。議長が事故等で職務を行えない場合に副議長仮議長が議事を主宰しているときは、その者が裁決権を行使する。

可否同数を避ける運用と例外

可否同数は議事の確定を議長一人の判断に委ねることになるため、議会運営上はできるだけ避けたい局面とされる。実務では、採決方法を起立採決記名投票とし、賛否の数を明確にしたうえで臨むのが通例である。なお、地方自治法第116条が定める過半数議決と議長裁決の特則は、特別多数議決を要する事件には適用されない。除名や不信任議決のように3分の2以上や4分の3以上の同意を要する事件では、その割合に達しなければ否決となるだけで、可否同数による議長裁決の問題は生じない。議長裁決が問題となるのは、あくまで出席議員の過半数で決する通常の議決の場面に限られる。

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