ジチテン

自由選択主義

読み:じゆうせんたくしゅぎ

意味

自由選択主義とは、処分に不服がある者が、行政庁への審査請求と裁判所への取消訴訟のいずれによって争うかを自由に選べるとする建前をいう。

処分を争う方法が審査請求取消訴訟の二つあるとき、当事者はどちらを使ってもよいのか、順序が決まっているのか。自由選択主義は、行政事件訴訟法採用する原則で、不服のある者がこの二つの不服申立て・救済手段のどちらを先に選んでもよいとする立場である。行政事件訴訟法第8条第1項本文は、取消訴訟は審査請求をすることができる場合でも直ちに提起できると定め、この原則を明らかにしている。両者を同時並行で進めることも可能である。これに対し、個別の法律が裁決を経た後でなければ訴訟を提起できないと定める場合は審査請求前置主義となり、自由選択主義の例外をなす。どちらの建付けかは、争おうとする処分の根拠法ごとに確認する必要がある。

行政事件訴訟法第8条の構造

自由選択主義は行政事件訴訟法第8条第1項本文に根拠を持つ。同項は、処分の取消しの訴えは当該処分につき審査請求をすることができる場合であっても直ちに提起することを妨げないと定め、審査請求と取消訴訟のいずれを選ぶかを当事者の自由に委ねている。同条はあわせて、両者を併行して進めた場合の調整も定めており、審査請求がされているときは、裁判所は審査請求に対する裁決があるまで訴訟手続を中止できるとする。つまり原則は自由選択であり、二重の手続が同時に進む事態は手続の中止という形で調整される。この原則を覆して訴訟提起の前に審査請求を義務づけるには、同項ただし書を受けた個別法の明文の規定が必要であり、それが審査請求前置主義である。

二つの手段の特徴と使い分け

自由選択主義のもとで、争う側は審査請求と取消訴訟の特徴を踏まえて手段を選ぶ。審査請求は手数料がかからず、処分の違法だけでなく当・不当も審査の対象となり、行政の専門的判断による迅速な救済を期待できる一方、判断する審査庁は行政内部の機関である。取消訴訟は中立の裁判所が違法性を判断し、確定判決には強い効力が認められるが、出訴期間原告適格などの訴訟要件を満たす必要がある。両者は争う対象や効果が異なるため、事案の性質に応じて選択され、あるいは審査請求で是正されなかった場合に取消訴訟へ移ることになる。

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