事務の代替執行とは、地方自治法第252条の16の2に基づき、地方公共団体がその事務の一部の管理・執行を、当該団体の名において他の地方公共団体に行わせる広域連携の手法をいう。事務の権限自体は委ねた団体に残る点に種差がある。
小規模な町村では、専門職員を確保できず特定の事務を自前で処理しきれない場面がある。事務の代替執行は、2014年の地方自治法改正で創設された比較的新しい仕組みで、事務の委託と異なり権限の帰属を移さないまま執行だけを他団体に担わせる。委託では受託団体の名と責任で事務が処理され、権限も受託側へ移るのに対し、代替執行では委ねた団体の名と責任のまま、執行行為だけを他団体が肩代わりする。これにより、外部に頼っても住民に対する最終的な責任と判断の所在は元の団体に維持される。規約を定めて協議し、議会の議決を経て総務大臣または都道府県知事へ届け出る手続を要する。
事務の委託との違い——権限が動くか動かないか
広域連携の手法は地方自治法に複数あるが、事務の代替執行(第252条の16の2)が事務の委託(第252条の14)と分かれる核心は、事務の権限が移るか否かにある。委託では事務の管理・執行の権限が受託団体へ移り、受託団体が自らの名と責任で処理する。住民に対する処分も受託団体の名で行われる。これに対し代替執行は、権限を委ねた団体に残したまま、執行という事実行為・法律行為だけを代替執行団体が行う仕組みである。処分の効果は委ねた団体に帰属し、住民から見た責任主体も変わらない。専門人材を共有しつつ、判断の所在を自団体に保ちたい場合に選ばれる。
創設の経緯と手続
事務の代替執行は2014年(平成26年)の地方自治法改正で導入された。背景には、小規模市町村の専門職員不足と、連携中枢都市圏や定住自立圏といった広域連携の制度的受け皿を広げる地方分権の流れがある。導入にあたっては、関係団体が協議のうえ規約を定め、それぞれの議会の議決を経る必要がある。規約には代替執行する事務の範囲、経費の負担などを定め、定めたときは総務大臣(都道府県が当事者の場合)または都道府県知事(市町村が当事者の場合)に届け出る。同じ改正では連携協約(第252条の2)も創設され、両者は広域連携の選択肢として並ぶ。
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