移用とは、予算執行中に同一款内の項の間で予算額を融通することをいい、あらかじめ予算で議会の議決を経た範囲で行われる予算執行上の操作である。
予算の項に不足が生じたとき、同じ款の他の項から金額を回すには議会の関与が要るのか。移用は地方自治法第220条第2項ただし書を根拠とし、款内の項相互間で予算額を融通する操作で、あらかじめ予算で定めた場合に限り行える点が特徴である。よく対比される流用が長の権限で項内の目・節の間を融通できるのに対し、移用は項という議決科目をまたぐため、予算編成の段階で議会の議決を受けておくことが前提となる。実務では当初予算の各項に「款内移用」を認める旨を付しておき、執行段階で長が範囲内で運用する。款をまたぐ場合は移用では足りず、補正予算による組替えが必要となる。議決科目である款・項と、執行科目である目・節の区別を理解していないと、どの操作が許されるかを誤りやすい。
流用との違いは議決科目をまたぐか否かにある
移用と流用は予算額を融通する点で似るが、対象とする科目の階層と必要な手続が異なる。地方自治法第220条第2項は、歳出予算の各項の経費の金額を相互に流用できないと定めつつ、ただし書で予算の定めるところにより同一款内の各項の間に限り移用できるとする。すなわち項という議決科目をまたぐ操作が移用で、あらかじめ予算で議会の議決を経ておかなければ行えない。一方の流用は施行令第150条第1項第3号により、長が項内の目・節の間で行う執行上の調整であり、原則として議会の議決を要しない。同じ款の中の異なる事業に金を回す場面でも、それが項をまたぐなら移用、項の中の目どうしなら流用となり、議会の関与の要否が分かれる。なお款をまたぐ融通は移用でも認められず、補正予算によらなければならない。
つながりのある用語
関連
ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)