ジチテン

いじめ防止対策推進法

読み:いじめぼうしたいさくすいしんほう

意味

いじめ防止対策推進法とは、いじめの防止・早期発見・対処に関する基本方針と学校・自治体の責務を定める法律である(平成25年法律第71号)。いじめへの組織的対応を学校設置者に義務付ける根拠法として位置づけられる。

いじめを「子ども同士のこと」として個々の教員の判断に委ねた結果、深刻化や自殺を見逃した反省から生まれたのがいじめ防止対策推進法である。平成23年の大津市の事件を契機に平成25年に制定された。

この法律はいじめを「対象児童等が心身の苦痛を感じているもの」と広く定義し、認知の網を広げた。国・自治体・学校にいじめ防止基本方針の策定を求め、学校にはいじめ防止等の対策のための組織の常設を義務付ける。生命・心身・財産に重大な被害が生じた疑いや、相当の期間学校を欠席した疑いがある場合を「重大事態」とし、設置者または学校が事実関係を調査する手続を定める。教育委員会事務局や学校管理職にとっては、いじめ対策の取組全体を支える法的枠組みであり、重大事態の調査主体や報告先を判断する際の根拠になる。

いじめの定義の広さと認知

同法はいじめを、児童等に対して一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的・物理的な影響を与える行為で、対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものと定義する。加害の意図や行為の継続性を要件とせず、被害側が苦痛を感じていれば該当しうる広い定義であり、軽微に見える事案も漏らさず認知することを学校に求める趣旨である。この広さゆえに現場では「どこまでをいじめとして認知・記録するか」の運用が論点になり、認知件数の多寡が学校の対応の良し悪しと直結しないことを庁内で共有する必要が生じる。法の趣旨は早期把握にあり、認知件数の増加はむしろ網が機能している証とも解される。

重大事態の調査

同法第28条は、いじめにより児童等の生命・心身・財産に重大な被害が生じた疑い(生命心身財産重大事態)、または相当の期間欠席を余儀なくされている疑い(不登校重大事態)がある場合を重大事態とし、学校設置者または学校がその事実関係を明確にするための調査を行うと定める。調査は学校いじめ対策組織を母体とするか、専門家を加えた第三者性のある組織を設けて行い、調査結果は被害児童・保護者へ情報提供されるとともに、公立学校の場合は教育委員会から首長へ報告される。首長は必要に応じて再調査を行うことができ、調査主体・報告経路を取り違えると手続の正当性が問われるため、発生時に条文に沿って体制を確認することが実務上重要になる。

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