移動期日前投票所とは、ワゴン車やバスなどに投票記載台や投票箱を載せ、複数の地点を巡回して期日前投票を受け付ける仕組みのことである。
投票所が遠く、足のない高齢者はどうやって一票を投じるのか。移動期日前投票所は、車両に投票設備を積んで集落や施設を巡回し、その場で期日前投票を受け付ける運用で、投票所の統廃合や過疎化で投票の機会が失われがちな地域への対策として広がっている。法令上は期日前投票所の一形態として位置づけられ、市区町村の選挙管理委員会が設置や巡回の場所・時間を定める。車両には投票管理者や立会人が同乗し、投票記載台と投票箱を備えて、固定の投票所と同じ手続で投票が行われる。山間部や離島、大学のキャンパス、商業施設などを巡回する例があり、投票所までの移動が難しい有権者の投票の機会を確保するとともに、若年層の投票を促す狙いもある。投票箱の管理や二重投票の防止など、移動に伴う事務の確実な処理が運用上の課題となる。
導入の背景と法的位置づけ
移動期日前投票所は、投票所の統廃合や人口減少によって、最寄りの投票所まで自力で行くことが難しい有権者が増えたことを背景に広がった。公職選挙法と関係政令は、期日前投票所を一つの市区町村に複数設けることを認めており、移動期日前投票所もこの期日前投票所の一形態として、選挙管理委員会の判断で設置される。車両に投票管理者と投票立会人が同乗し、投票記載台・投票箱・選挙人名簿対照のための端末などを備えて、固定の投票所と同等の手続で投票を受け付ける。巡回の場所・日時はあらかじめ告示され、有権者はそのいずれの地点でも自らの一票を投じられる。
運用上の論点
移動期日前投票所では、限られた時間で複数の地点を巡回するため、各地点の滞在時間や巡回経路を有権者の利便と事務の確実性の双方から設計する必要がある。投票箱を車両に積んで移動させることから、施錠や保管の方法、移動中の管理を厳格に定め、二重投票を防ぐための選挙人名簿の確認をオンラインの端末で行うなどの工夫を凝らす。通信環境の不安定な山間部では、名簿対照の方法をあらかじめ取り決めておく必要もある。高齢者や障害のある人、交通手段を持たない有権者の投票機会を確保する手段として評価される一方、設置には車両や人員の確保が必要で、財政や人手の制約から導入を見送る団体もある。
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