一部改正とは、既存の法令や例規の一部の条項を追加・修正・削除するために、改正の対象箇所と改正後の内容を改め文の形式で示して制定する改正方式をいう。
条例の文言を一箇所だけ直したいとき、自治体の法務担当はその条例を作り直すのではなく、どの部分をどう改めるかを指示する改正条例を新たに制定する。これが一部改正であり、既存の法令・例規の同一性を保ったまま中身を更新する、法制執務の最も基本的な手法である。一部改正は、対象の法令名と改める箇所、改正後の文言を「第○条中『A』を『B』に改める」「第○条に次の一項を加える」といった改め文(溶け込み方式)で記述し、これが公布・施行されると元の法令の本則に溶け込んで一体となる。改正の規模が大きく改め文が複雑になる場合でも、法令そのものを廃止して新たに制定し直すのではなく一部改正を重ねるのが原則で、これにより制定時からの沿革と附則・経過措置の連続性が保たれる。これに対し、条文の大半を入れ替えるなど改め文では煩雑にすぎる場合には、本則の全体を置き換える全部改正が用いられる。担当課にとっては、改正の規模に応じて一部改正と全部改正のどちらを採るかを判断し、改め文の作成や新旧対照表による審査を正確に行うことが、例規の品質を左右する。
改め文と溶け込み方式
一部改正は、改正の内容を改め文という独特の文体で記述する。改め文は、改正対象の条・項・号や字句を特定し、「第○条中『○○』を『△△』に改める」「第○条第○項を次のように改める」「第○条の次に次の一条を加える」といった指示の形で書かれる。これらの指示が公布・施行によって既存の法令本体に反映され、元の条文と一体化することを溶け込み方式と呼ぶ。改め文は機械的・形式的な記述ルールが厳格に定まっており、句読点や括弧の一字の誤りが改正の効力に影響しうるため、自治体では新旧対照表を併用して改正前後の条文を対照しながら例規審査を行う。改め文は読み手にとって改正後の姿が直感的に把握しづらい欠点があるため、近年は新旧対照表方式を本体とする自治体も増えているが、国の法令や大半の自治体では改め文が引き続き正式な改正方式とされている。
一部改正と全部改正・廃止制定の使い分け
既存の法令・例規を改めるには、一部改正のほかに全部改正と廃止制定がある。一部改正は、改正箇所が限られ、改め文で表現しても煩雑にならない場合に用いる原則的な方式で、法令の同一性(法令番号や題名、制定時からの沿革)が維持される。改正が広範に及び、改め文が著しく複雑になる場合には、本則全体を新たな条文に置き換える全部改正を用いる。全部改正でも法令の同一性は保たれ、附則で従前の規定との経過措置を定める。これに対し、旧法令を廃止して全く別の法令を新たに制定する廃止制定は、法令の同一性が断たれる点で全部改正と異なる。どの方式を採るかは、改正の量だけでなく、沿革を保つ必要性や題名を変える必要の有無も踏まえて判断され、法務担当の例規審査における重要な論点となる。
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