標準職務遂行能力とは、地方公務員法第15条の2に基づき、職制上の段階の標準的な職の職務を遂行する上で発揮すべき能力として、任命権者が定めるものである。職員の任用や人事評価における能力評価の基準として用いられる。
能力本位で人事を行うといっても、その「能力」を測る物差しがなければ評価は評価者の主観に流れてしまう。標準職務遂行能力は、この物差しをあらかじめ言語化して共有するために設けられた。係員・係長・課長補佐・課長といった職制上の段階ごとに、その段階の標準的な職に就く者が職務を遂行する上で発揮すべき能力を、任命権者が項目として定める。平成26年の地方公務員法改正で職階制が廃止され能力・実績主義が明文化された際、任用の根本基準である能力の実証(成績主義)を具体的に運用する受け皿として整備された。人事評価のうち能力評価は、職員が現に発揮した能力をこの標準と照らして判定する。昇任の判断材料にもなり、抽象的な「優秀さ」ではなく、職の段階に応じた具体的な行動・判断の水準に人事を結びつける。
成績主義を運用に落とし込む装置
地方公務員法は任用を受験成績・人事評価その他の能力の実証に基づいて行うべきこと(成績主義・能力実証主義)を定めるが、その「能力」が職ごとにどのような中身を指すのかは法文だけでは定まらない。標準職務遂行能力は、係員・主任・係長・課長補佐・課長・部長といった職制上の段階の標準的な職について、求められる能力を「倫理」「構想」「判断」「説明・調整」「業務遂行」「組織統率・人材育成」などの項目に分けて任命権者が定めるものである(地方公務員法第15条の2第1項第5号)。これにより、誰を昇任させ、どの職に任用するかという判断を、評価者ごとにばらつく主観ではなく、職の段階ごとにあらかじめ示された能力の水準に照らして行えるようになる。
人事評価の能力評価との関係
人事評価は能力評価と業績評価の二本立てで行われ、このうち能力評価が標準職務遂行能力を直接の基準とする。評価者は、職員がその期間に現に職務上発揮した能力を、当該職員の職の段階に対応する標準職務遂行能力と照らし合わせて評価する。標準が「その段階の職に求められる能力」を示すのに対し、能力評価は「個々の職員が実際に発揮した能力」を測る関係にあり、両者は物差しと測定値の対をなす。能力評価の結果は昇任・昇格や任用の判断、人材育成の指針として活用され、職員本人へのフィードバックにより次の期の行動改善にもつなげられる。
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