ジチテン

保険者努力支援制度

読み:ほけんしゃどりょくしえんせいど

意味

保険者努力支援制度とは、市町村や都道府県が国民健康保険の保険者として行う医療費適正化や予防・健康づくりの取組を客観的指標で評価し、その達成度に応じて国が交付金を傾斜配分する仕組みである。

国保保険者として何に力を入れれば財政上報われるのか、という問いに対する国からの答えがこの制度である。保険者努力支援制度は、特定健診・特定保健指導の実施率、糖尿病等の重症化予防の取組、ジェネリック医薬品の使用割合、収納率の向上といった指標を点数化し、得点に応じて市町村分・都道府県分の交付金を配分する。単なる財政支援ではなく、保険者の取組を数値で競わせて医療費の適正化を促す、いわゆるインセンティブ交付金の代表例である。市町村にとっては特定健診の実施率などが交付金額に直結するため、健康増進部門と国保部門が連携して指標の達成を図る動機になる。一方で、指標を満たすこと自体が目的化し、本来の健康づくりの実質が伴わなくなる懸念も指摘される。

評価指標とインセンティブの設計

保険者努力支援制度は、2018年度の国保都道府県単位化に合わせて本格的に導入された。国が示す評価指標は、特定健診・特定保健指導の実施率、糖尿病性腎症などの重症化予防プログラムの実施、後発医薬品(ジェネリック)の使用促進、保険料(税)の収納率向上、データヘルス計画に基づく保健事業の実施状況などからなる。市町村と都道府県のそれぞれについて得点が算定され、その得点に応じて交付金が傾斜配分される。財政力ではなく取組の達成度で配分するため、小規模な市町村でも努力次第で手厚い交付を受けられる設計になっている。福祉・国保関連の比率や実施率の多くが、この制度の評価指標として参照される点も実務上の特徴である。

実務上の論点と課題

交付金額が指標の達成度に連動するため、市町村では特定健診の受診率向上や重症化予防の対象者抽出などに具体的な数値目標が設定され、国保部門と保健部門の連携が促される。これは予防・健康づくりへの取組を後押しする効果を持つ一方、指標の達成自体が目的化し、受診率の数字を追うあまり健康づくりの実質が薄まる、あるいは指標に挙がらない取組が後回しになる、といった副作用も指摘される。また、毎年度の指標の見直しによって配分の前提が変わるため、中長期の保健事業計画との整合をどう保つかが課題となる。指標の多くは特定健診実施率のように他の福祉・保健施策とも共通するため、健康増進計画やデータヘルス計画と一体で運用することが実務の要点である。

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