被保護者とは、生活保護法による保護を現に受けている者をいう。
目の前の相談者が「被保護者」なのか、まだ保護を受けていない「要保護者」なのかで、福祉事務所が行う事務はまるで違う。被保護者は保護を受けている世帯の構成員を指し、保護の決定後に生じる収入申告・指導指示・保護費の変更・停止・廃止といった一連の事務はすべてこの地位を起点に動く。要保護者が「保護を必要とする状態にある者」であり申請や職権による保護の開始によって被保護者へ移るのに対し、被保護者は保護開始決定によって法律上の地位を得た者である。生活保護法は被保護者に対し、収入や資産の状況を申告する義務、福祉事務所の指導指示に従う義務などを課す一方、不利益変更の禁止や差押禁止といった保護を受ける権利も定める。実務では世帯単位で保護が適用されるため、被保護者は「世帯に属する個々の者」を指し、世帯分離や転入転出のたびに台帳上の被保護者の範囲が変わる点が事務処理の要点になる。
要保護者と被保護者の違い
生活保護法は「要保護者」と「被保護者」を明確に書き分ける。要保護者は現に保護を受けているかどうかにかかわらず保護を必要とする状態にある者を指し、被保護者は現に保護を受けている者に限られる。この区別は実務で重要で、たとえば急迫保護や職権保護の対象は「保護を必要とする状態にあるがまだ受けていない」要保護者であり、いったん保護開始決定が出ると被保護者に切り替わる。福祉事務所の事務も、要保護者に対しては申請の受理・資力調査・要否判定が中心になり、被保護者に対しては収入申告の受理・指導指示・保護費の改定・停止廃止が中心になる。相談記録や決定通知の名宛人をどちらの語で書くかは、保護の開始決定の前後で使い分ける。
被保護者の義務と権利
被保護者には法律上の義務と権利の両面がある。義務として、収入・資産・世帯の状況に変動があったときに届け出る申告義務、福祉事務所長の指導指示に従う義務、保護の目的に反する生活上の義務がある。これらに従わない場合は、保護の変更・停止・廃止や、不正受給に対する費用徴収の対象になりうる。一方の権利として、正当な理由なく不利益に保護を変更されない不利益変更の禁止、すでに受けた保護金品を差し押さえられない差押禁止、保護を受けることで公租公課を課されない公課禁止が定められる。福祉事務所が保護の停止や廃止を検討する場面では、義務違反の事実と手続(指導指示の文書交付や弁明の機会)が適正かどうかが争点になりやすい。
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