ハラスメントとは、職場において、優越的な関係や性的言動などを背景として相手の人格や尊厳を害し、就業環境を悪化させる言動の総称をいう。
苦情を受けた人事担当者がまず迷うのは、その言動がどの類型のハラスメントに当たり、どの法令に基づき対応すべきかという切り分けである。パワーハラスメント・セクシュアルハラスメント・妊娠出産等に関するハラスメントは、それぞれ労働施策総合推進法・男女雇用機会均等法・育児介護休業法という別個の根拠に基づいて事業主に防止措置義務が課されており、相談窓口の設置や事実確認、行為者への措置、再発防止までの一連の対応を事業主に義務づける点では共通する。自治体では、職員間のハラスメントに加え、住民や事業者からのカスタマーハラスメント(行政対象暴力と重なる場面もある)への対応も近年の課題となっている。被害職員が精神疾患で休む場合は分限休職(心身の故障)や公務災害の認定が問題になり、行為者には懲戒処分が科されうるため、ハラスメントは服務・分限・福利厚生の各制度と連動して理解する必要がある。どの類型に該当するかの初期判断を誤ると、適用すべき指針も対応手順もずれてしまうため、まず類型の弁別から入るのが実務の出発点である。
法令ごとに異なる根拠と類型
ハラスメントは単一の法律で一括して定義されているわけではなく、類型ごとに根拠法が分かれる。職場のパワーハラスメントは労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)が、性的言動によるセクシュアルハラスメントは男女雇用機会均等法第11条が、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントは男女雇用機会均等法第11条の3および育児介護休業法第25条が、それぞれ事業主に雇用管理上の措置を義務づけている。地方公務員にもこれらの趣旨が及び、各団体は要綱や指針で相談体制・調査手続・行為者への措置を定める。類型が違えば該当性の判断基準も対応の所管も変わるため、相談を受けた段階でどの根拠に基づく事案かを見極めることが対応の出発点となる。
自治体での対応体制と関連処分
自治体では人事担当課や独立した相談員を窓口とし、申出を受けて事実確認、行為者・被害者双方からの聴取、措置の決定という流れで対応する。通報や相談を理由とした不利益取扱いは禁止され、相談者のプライバシー保護が前提となる。ハラスメントが認定されれば行為者には戒告から免職までの懲戒処分が科されうる一方、被害職員が精神的不調で休職に至れば分限処分(心身の故障による休職)や、業務起因性が認められれば公務災害として扱われる。住民や事業者からの著しい迷惑行為であるカスタマーハラスメントは、職員個人ではなく組織として対応する方針を定める団体が増えており、悪質な場合は行政対象暴力として警察と連携する。
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