ジチテン

排出基準

読み:はいしゅつきじゅん

意味

排出基準とは、大気汚染防止法に基づき、ばい煙や揮発性有機化合物などを排出する施設に対し、排出口における汚染物質の濃度や量の許容限度を定めた規制基準である。これに適合しない排出は改善命令や罰則の対象となる。

工場や事業場の煙突から出る煙にどこまで汚染物質が含まれてよいかを国が一律に線引きしておかなければ、立地する地域や事業者ごとに規制がばらつき、健康被害が起きてから後追いで対応するほかなくなる。排出基準は、発生源を直接縛ることで大気環境を発生の段階で守る規制の中心に位置する。

大気汚染防止法は、ばい煙発生施設や揮発性有機化合物排出施設などを設置する者に、施設の種類・規模ごとに定められた排出基準の遵守を義務づける。硫黄酸化物については地域の汚染状況に応じた K 値規制、ばいじん・有害物質については施設区分ごとの濃度基準というように、物質ごとに基準の組み立てが異なる。

基準は国が全国一律に定めるのが原則だが、法律自体が、都道府県が条例でより厳しい排出基準を定める上乗せ基準や、法の対象外の施設・物質を条例で規制する横出しを認めている。これにより、汚染の著しい地域では実情に応じた上乗せが可能になる。市区町村や都道府県の環境部局は、施設の設置届出を審査し、立入検査で排出を測定し、基準を超過すれば改善命令を出すという形でこの基準を運用する。なお同種の規制が水質汚濁防止法では排水基準として置かれており、対象が大気か公共用水域かで体系が分かれる。

環境基準・排水基準との違い

排出基準は発生源(工場・事業場)の排出口を直接縛る規制基準である点で、地域の大気や水域が「維持されることが望ましい」目標値として政府が定める環境基準とは性格が異なる。環境基準は行政が施策を進めるうえでの目標であって個々の事業者を直接拘束しないのに対し、排出基準は超過すれば改善命令や罰則が及ぶ強制力を持つ。両者は「達成すべき目標(環境基準)」と「それを発生源で担保する手段(排出基準)」の関係にある。また排出基準は大気汚染防止法の用語であり、公共用水域への排水に対する同種の規制は水質汚濁防止法の排水基準として置かれる。対象が大気か水かで根拠法・所管の手続が分かれるが、発生源規制という考え方は共通する。

上乗せ基準と横出し規制

大気汚染防止法は全国一律の排出基準を原則としつつ、都道府県が条例でより厳しい基準を定めることを明文で認めている。法より厳しい数値を地域限定で課すものを上乗せ基準、法が規制していない施設や物質を条例で新たに規制対象に加えるものを横出し規制という。汚染が著しい大都市圏や工業地帯では、地域の実情に応じて国の基準では足りない部分をこの仕組みで補う。事業者から見れば、立地する自治体の環境保全条例を確認しなければ国の基準を満たすだけでは不十分なことがある点に注意を要する。環境保全協定公害防止協定)で立地企業に法や条例より厳しい自主的な基準や測定・報告を約束させる運用も、この上乗せの発想を契約の形で延長したものといえる。

つながりのある用語

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