行政指導の中止等の求めとは、法律に根拠を有する行政指導の相手方が、その指導が要件に適合しないと思料するときに、当該行政指導の中止その他必要な措置を求めることができる、行政手続法第36条の2に定める申出制度である。
行政から受けている指導に納得がいかないとき、相手はどう争えるのか。行政指導の中止等の求めは、法律に根拠を有する行政指導を現に受けている相手方が、その指導が当該法律に定める要件に適合しないと思料するとき、指導をした行政機関に対し中止その他必要な措置を求めることができる制度である。平成26年の行政手続法改正で第36条の2として新設された。申出を受けた行政機関は、必要な調査を行い、行政指導が要件に適合しないと認めるときは中止等の措置をとらなければならない。対象は法律に根拠を持つ行政指導に限られ、要綱や予算に基づく事実上の指導は含まれない。行政指導は本来任意の協力を求めるものだが、事実上の強制力を持つことがあるため、相手方に簡便な異議申立ての途を開いたのがこの制度である。
対象となる行政指導の範囲
行政指導の中止等の求めの対象は、法律の規定に基づき一定の要件に適合する場合にすることができるとされている行政指導に限られる(第36条の2第1項)。すなわち、根拠が法律にあり、かつ法律が発動の要件を定めている類型の指導であって、要綱・内規や予算を根拠とする事実上の指導は対象外である。申出は、行政指導の内容、要件に適合しないと思料する理由など第36条の2第2項所定の事項を記載した申出書で行う。申出を受けた行政機関は必要な調査を行い、当該行政指導が要件に適合しないと認めるときは中止その他必要な措置をとらなければならない。実務では、指導の根拠が法律か要綱かを切り分け、法律根拠の指導については中止の求めに応答できる体制を整えておく必要がある。
行政指導の任意性との関係
行政手続法は、行政指導が相手方の任意の協力によってのみ実現されること、指導に従わなかったことを理由とする不利益な取扱いの禁止を定める(第32条)。中止等の求めは、この任意性の原則を手続面から補強する仕組みで、相手方が不適法な指導の継続を受忍せずに是正を促せる途を制度化したものである。もっとも、申出を受けた行政機関に申出者への応答義務はなく、調査の結果中止しないという判断もありうる。指導に正当な根拠があるかを担当課が文書で説明できるようにし、相手方とのやり取りを記録しておくことが、中止の求めや後の国家賠償請求に耐える前提となる。
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