行政行為の効力とは、行政行為が私人の法律関係に及ぼす特殊な拘束力の総称であり、公定力・不可争力・不可変更力・執行力(自力執行力)に整理される。
違法かもしれない課税処分にも、なぜいったん従わなければならないのか。私人間の契約や判決にはない、行政行為だけが持つ特殊な効力をまとめて理解する枠組みが行政行為の効力論である。行政行為の効力とは、行政庁が一方的に行う行政行為が相手方や行政庁自身を拘束する力の総称で、講学上は四つに整理される。公定力は、行政行為が違法であっても権限ある機関が取り消すまでは一応有効として扱われる効力をいう。不可争力は、出訴期間や不服申立期間が過ぎると相手方がもはやその効力を争えなくなる効力である。不可変更力は、審査請求の裁決のように、行政庁自身も一度行った判断を後から変更できなくなる効力をさす。執行力(自力執行力)は、義務を命じた行政行為について、裁判によらず行政庁自らが強制執行できる効力である。
四つの効力の相互関係
行政行為の効力論は、四つの効力を整理し、それぞれの根拠と射程の違いを押さえる枠組みである。公定力は、行政行為の適法性が公権力の行使として一応推定され、取消訴訟という特別の争訟手続で取り消されるまでは有効として扱われることをいう(取消訴訟の排他的管轄)。これに対し、重大かつ明白な瑕疵がある行政行為は初めから無効で公定力を持たず、無効確認訴訟で争える。不可争力は私人の側から争えなくなる効力で出訴期間の経過を要件とするのに対し、不可変更力は行政庁の側が変更できなくなる効力で審査請求の裁決など争訟裁断行為に認められる点が異なる。両者はともに「もはや覆せない」効力だが、縛る方向が私人か行政庁かで対をなす。執行力は、義務を命じる行政行為についてのみ問題となり、行政代執行法などの法律の根拠がある場合に限って自力執行が認められる。
公定力の限界と国家賠償
公定力は、行政行為を一応有効として扱う効力にとどまり、その行為が適法であることまで保障するものではない。違法な行政行為によって損害を受けた私人は、その行政行為を取り消さなくても、国家賠償法に基づき損害賠償を請求できるとするのが判例の立場である(公定力は国家賠償請求を妨げない)。また、刑事事件において行政行為の違法を前提とする主張も、公定力によっては妨げられないと解されている。公定力の及ぶ範囲は取消訴訟との関係に限られ、損害の塡補や刑事責任の判断にまでは及ばない。違法な行政行為に対しては、取消訴訟による効力の除去と、国家賠償による損害の塡補という二つの救済が、それぞれ別の役割を担う。
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