行政機関等匿名加工情報とは、行政機関や地方公共団体等が保有する個人情報を、特定の個人を識別できず復元もできないよう加工した情報で、民間事業者の提案募集に応じて利用に供されるものをいう。
自治体が持つ膨大な行政データを、個人を特定できない形に加工して民間の事業活動に役立てられないか——この問いに制度で応えるのが行政機関等匿名加工情報である。個人情報保護法は、行政機関等が保有個人情報を含む個人情報ファイルについて、年1回程度の提案募集を行い、新たな事業の創出などに資する提案を審査したうえで、対象データを匿名加工して提案者に提供する仕組みを定める。提供を受けた事業者は手数料を納め、契約に基づき安全管理措置や利用目的の遵守を求められる。民間部門の匿名加工情報が事業者の自主的な作成・流通を前提とするのに対し、行政機関等匿名加工情報は提案募集と審査という公的な手続を経る点が大きく異なる。令和3年改正で国の行政機関・地方公共団体の規律が個人情報保護法に一本化された際、それまで国の行政機関に限られていたこの制度が地方公共団体等にも拡張された。
提案募集から提供までの手続
行政機関等匿名加工情報の利用は、保有機関が個人情報ファイル簿に「提案を募集する個人情報ファイル」である旨を記載することから始まる。事業者はこれを見て、匿名加工して利用したいデータと事業内容を記載した提案を提出する。保有機関は、提案が新たな産業の創出や活力ある経済社会・豊かな国民生活の実現に資するか、安全管理体制が整っているかなどの基準で審査し、適合すれば契約を締結する。契約後、保有機関が個人情報を匿名加工して情報を作成・提供し、事業者は政令で定める手数料を納める。提供後も事業者には利用目的の範囲内での利用と安全管理措置が義務づけられ、違反には罰則がある。地方公共団体については、当面、都道府県・指定都市にこの制度の実施が義務づけられ、その他の市町村は任意とされている。
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