ジチテン

行政刑罰

読み:ぎょうせいけいばつ

意味

行政刑罰とは、行政上の義務違反に対する制裁として、刑法に刑名のある刑(拘禁刑・罰金・科料等)を科す行政罰の一類型である。

条例罰則を設けるとき、過料ではなく懲役・罰金を選べばそれは行政刑罰であり、刑事訴訟手続によって裁判所が科すことになる。行政刑罰は、行政上の義務違反に対し刑法に定める刑を科すもので、過料を科す秩序罰とともに行政罰を構成する。刑罰である以上、原則として刑法総則が適用され、故意・過失の認定や検察官による起訴、裁判所の判決という刑事手続を経る。地方公共団体の条例違反については、地方自治法第14条第3項が2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金等を上限として定め、この範囲で条例に刑罰を置くことができる。担当課が罰則条項を起案する際は、義務違反の悪質性や被害の程度に応じて秩序罰(過料)で足りるか行政刑罰を要するかを見極める必要がある。

秩序罰との違いと選択

行政刑罰は刑法に刑名のある刑を科すため刑事訴訟法による手続を要し、前科として扱われる重い制裁である。これに対し秩序罰(過料)は刑罰でなく、非訟事件手続法による裁判所の決定、または地方公共団体の長の処分によって科され、前科にならない。条例で罰則を設計するとき、申告義務違反や軽微な手続懈怠には秩序罰、無許可営業や悪質な違反行為には行政刑罰という振り分けが一般的だ。地方自治法第14条第3項は条例に置ける刑罰の上限を2年以下の拘禁刑・100万円以下の罰金・拘留・科料・没収と定め、これを超える刑は条例では科せない。罰則条項の起案では、構成要件の明確性と罪刑法定主義への適合を確認することが欠かせない。

両罰規定と運用上の課題

行政刑罰では、違反行為者本人だけでなく、その事業主たる法人や使用者にも罰金刑を科す両罰規定を置くことが多い。これは行政上の義務を実効的に担保するための仕組みで、法人の選任監督上の過失を問う構成として整理される。もっとも、行政刑罰は検察官の起訴を要するため、軽微な違反では起訴猶予となり実際には機能しにくいという指摘がある。このため近年の立法では、即効性のある秩序罰や課徴金など刑罰によらない制裁手段を併用し、行政刑罰は悪質類型に限定する傾向がある。条例の罰則を運用する自治体としては、警察・検察との連携や告発の判断基準をあらかじめ整理しておくことが、規定を絵に描いた餅にしないための前提となる。

つながりのある用語

対比

ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)