ジチテン

行政事件訴訟

読み:ぎょうせいじけんそしょう

別名:行政訴訟
意味

行政事件訴訟とは、行政庁の処分その他の公権力の行使や、公法上の法律関係をめぐる争いについて、裁判所に対してその是正・確認を求める訴訟の総称であり、行政事件訴訟法が抗告訴訟・当事者訴訟・民衆訴訟・機関訴訟の四類型を定める。

処分を受けた住民から「裁判所に訴える」と言われたとき、担当課はどの訴訟類型で何が争われるのかを把握しておかなければ、応訴の準備も処分時の教示も誤る。行政事件訴訟は、行政上の不服申立てが行政部内での見直しであるのに対し、独立した裁判所による審理を求める司法的な救済経路であり、その手続を一般的に定めるのが行政事件訴訟法である。同法は訴訟を四つの類型に分ける。第一の抗告訴訟は処分や裁決を直接の対象として取消し・無効確認・不作為の違法確認・義務付け・差止めを求めるもので、自治体実務で問題となる大半がこれにあたる。第二の当事者訴訟は公務員の地位確認や損失補償の額をめぐる争いなど対等な法律関係を争うもの、第三の民衆訴訟住民訴訟など自己の利益と無関係に法規の適正を求めるもの、第四の機関訴訟国地方係争処理委員会の審査を経た関与をめぐる訴えなど行政機関相互の権限争いである。担当課にとっては、処分通知書に取消訴訟の被告・出訴期間(処分を知った日から原則6か月)を正確に教示すること、出訴期間の経過で不可争力が生じることが実務上の要点となる。行政事件訴訟は、行政上の不服申立てと並んで行政争訟を構成し、住民訴訟・取消訴訟など自治体が日常的に直面する訴えの土台をなす。

抗告訴訟を中心とする四類型

行政事件訴訟法は、訴訟を抗告訴訟・当事者訴訟・民衆訴訟・機関訴訟の四類型に整理する。中心となる抗告訴訟は、行政庁公権力の行使に対する不服を争うもので、取消訴訟(処分・裁決の取消しを求める)・無効等確認訴訟不作為の違法確認訴訟義務付け訴訟差止訴訟の五つに細分される。当事者訴訟は、当事者間の公法上の法律関係を争うもので、損失補償の額や公務員の地位の確認などが典型である。民衆訴訟は、選挙の効力を争う訴えや住民訴訟のように、自己の法律上の利益にかかわらない資格で法規の適正な適用を求める訴えで、法律に定めがある場合に限り提起できる。機関訴訟は、行政機関相互の権限の存否や行使を争う訴えで、これも法定の場合に限られる。自治体が被告となる訴えは取消訴訟と住民訴訟が大半を占めるため、まずこの二つの仕組みを押さえることが実務の出発点となる。

訴訟要件と出訴期間

抗告訴訟、とりわけ取消訴訟には、本案審理に入る前提として訴訟要件を満たす必要がある。処分性(争う対象が処分にあたるか)、原告適格(その者が取消しを求める法律上の利益をもつか)、狭義の訴えの利益被告適格、そして出訴期間がそれである。出訴期間は、処分または裁決があったことを知った日から原則6か月、処分の日から原則1年とされ、これを過ぎると不可争力が生じて争えなくなる。担当課が処分を行う際は、行政事件訴訟法に基づき、取消訴訟の被告とすべき者と出訴期間を相手方に教示しなければならない。教示を欠くと、相手方が誤った相手を被告として出訴しても救済されるなど、自治体側に不利益が及ぶ場合がある。出訴期間内に提起された訴えであっても、原告適格や処分性を欠けば却下されるため、争訟リスクを見積もるにはこれら要件を一体として確認する必要がある。

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