ジチテン

合議制

読み:ごうぎせい

別名:独任制
意味

合議制とは、複数の構成員の合議による意思決定を組織の意思とする行政機関の形態をいい、一人の長が単独で決定する独任制に対する概念である。

なぜ教育や選挙の事務は知事や市長が一人で決めず、委員会という合議体に委ねられているのか——その答えは合議制と独任制という機関構成の使い分けにある。独任制は長一人に権限と責任を集中させる形態で、知事・市町村長や各省大臣のように迅速・統一的な判断と明確な責任を要する執行機関に適する。これに対し合議制は、複数の委員の議論と多数決により意思を決める形態で、政治的中立性や専門的・慎重な判断、利害の調整を要する事務に向く。地方公共団体では、執行機関の多元主義のもと、長から独立した行政委員会教育委員会選挙管理委員会人事委員会監査委員など)が合議制機関として置かれる。国でも人事院公正取引委員会などの行政委員会が合議制をとる。合議制は一人の恣意を防ぎ判断の中立と慎重を確保する反面、決定に時間がかかり責任の所在が分散しやすいという特徴を持つ。

独任制との使い分け

行政機関を独任制とするか合議制とするかは、その事務にどの価値を優先するかで決まる。独任制は一人の長に意思決定権を集め、迅速な判断・統一的な指揮命令・明確な責任を実現する形態で、地方公共団体の長や国の各省大臣がこれにあたる。日常の行政執行の大半は、効率と責任の明確さを重んじてこの形態をとる。一方、合議制は政治的中立性の確保(選挙管理・教育・公安など長の党派性から切り離すべき事務)、専門技術的で慎重な判断(人事・監査・収用裁決など)、多様な利害の調整(労働委員会のような三者構成)を要する場面で採られる。合議制では複数構成員の議論と多数決を経るため一人の恣意が抑制される反面、意思決定に時間を要し、合議体としての責任が個々の委員に分散しやすい。制度設計はこの長短を踏まえ、事務の性質に応じて両形態を配分している。

行政委員会と執行機関の多元主義

地方公共団体では、長という独任制の執行機関のほかに、長から独立した合議制の行政委員会を置く「執行機関の多元主義」が採られている。地方自治法は、すべての普通地方公共団体に教育委員会・選挙管理委員会・人事委員会(または公平委員会)・監査委員を、都道府県に公安委員会・労働委員会・収用委員会などを、市町村に農業委員会固定資産評価審査委員会などを置くことを定める。これらが合議制をとるのは、政治的中立性・専門性・公正中立な第三者判断を制度的に担保するためである。委員は議会の同意を得て長が任命するなどの方法で選ばれ、合議によって委員会としての意思を決める。ただし監査委員のように合議制を基本としつつ各委員が独立して職務を行う例もあり、合議制の運用は機関ごとに差がある。長に権限を集中させない多元的な構成は、権力の分散と相互の抑制という地方自治のしくみの一部をなす。

つながりのある用語

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