ジチテン

義務教育

読み:ぎむきょういく

意味

義務教育とは、日本国憲法第26条が定める普通教育を、保護者の就学義務と公費負担のもとで全ての子に保障する小学校・中学校の9年間の教育である。

「義務教育は無償」と憲法は書くが、では何がどこまで無料なのか——授業料と教科書は無償だが給食費や教材費は保護者負担という線引きを、窓口は就学援助の説明とあわせて正確に語れなければならない。義務教育は日本国憲法第26条第1項の「教育を受ける権利」を裏側から支える仕組みであり、同条第2項が保護者に普通教育を受けさせる義務を課し、その費用を国民に無償とすることで権利を実質化する。

学校教育法は義務教育の年限を小学校6年・中学校3年の合計9年と定め、その内容として国家・社会の形成者に必要な基礎的資質を養うことを掲げる。無償の範囲は憲法上は授業料を指すと解され、これに加えて教科書無償給与制度により教科書も無償で配布される。一方、給食費・修学旅行費・学用品費などは保護者負担が原則で、経済的に困難な世帯には就学援助が補う。市区町村は小学校・中学校を設置する義務を負い、その経費の一部は義務教育費国庫負担金で支えられる。義務教育を「タダの教育」と単純化せず、無償の範囲と公費負担の構造を区別して理解することが、保護者対応と制度運用の前提になる。

無償の範囲をめぐる線引き

憲法第26条第2項後段は義務教育を無償とすると定めるが、判例(最高裁昭和39年2月26日)は無償の対象を授業料に限る趣旨と解している。これに教科書無償給与制度が加わり、義務教育諸学校の児童生徒には国の負担で教科書が配布される。一方、給食費・教材費・修学旅行費・学用品費・通学費などは無償の範囲外で、原則として保護者が負担する。この区別を曖昧にしたまま「義務教育は無償」と説明すると、保護者との間で負担をめぐる認識の食い違いを生む。経済的理由で就学が困難な世帯には学校教育法第19条に基づく就学援助があり、学用品費・給食費・修学旅行費などの一部または全部を市区町村が援助する。無償の範囲が限定されているからこそ、就学援助が義務教育の機会均等を補完する役割を担う。

設置義務と費用負担の構造

市区町村は学校教育法第38条・第49条により、その区域内の学齢児童・学齢生徒を就学させるに必要な小学校・中学校を設置する義務を負う。義務教育の経費は設置者である市区町村が負担するのが原則だが、教職員の給与費は県費負担教職員制度により都道府県が支払い、さらにその一部を国が義務教育費国庫負担金で負担する三層の構造をとる。この仕組みにより、財政力の弱い市区町村でも一定水準の義務教育が維持される。義務教育を支える費用が誰の負担で賄われているかを押さえると、教育費に関する国・都道府県・市区町村の役割分担と、地方財政における教育費の位置づけが見通せる。

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