ジチテン

議会の自律権

読み:ぎかいのじりつけん

別名:自律権
意味

議会の自律権とは、地方議会がその組織・運営・議事・議員の身分に関する事項を、他の機関の干渉を受けずに自らの判断で決定し処理する権能をいう。

議会の中で起きた懲罰や議事手続の当否を、裁判所や首長が後から覆せるのか。議会の自律権は、議事機関である議会が外部の干渉を排し、内部のことは自ら律するという考え方であり、議会運営の独立性を支える基礎原則である。会議規則の制定、議事の進行、議席の決定、懲罰や出席停止といった議員の身分に関わる処分などが、その内容として地方自治法に根拠を持つ。自律権が及ぶ事項については、議会の決定が尊重され、司法審査が及ばないか限定的とされる場面がある(議員の出席停止をめぐっては、近年その司法審査を認める最高裁判決が示された)。一方で、自律権は無制約ではなく、法令や住民の権利を侵す決定までを正当化するものではない。議会の独立性を守る盾であると同時に、その限界が常に問われる原則である。

自律権の内容と地方自治法上の根拠

議会の自律権は単一の条文に明示されるのではなく、複数の権能の集合として地方自治法に現れる。会議規則の制定権(第百二十条)、議事の進行や秩序に関する議長の権限、議席を定める権限、会議の公開・秘密会の決定(第百十五条)、そして議員の懲罰権(第百三十四条)や資格決定がその主要な内容である。とりわけ懲罰・出席停止・除名といった議員の身分に関わる処分は、議会が自らの構成員を律する自律権の中核として位置付けられる。これらは外部機関の指揮監督を受けず議会自身が決定する点に独立性の意義があり、二元代表制のもとで執行機関から独立した議事機関であることの制度的な裏付けとなる。

自律権と司法審査の限界

自律権が及ぶ事項にどこまで裁判所の審査が及ぶかは、長く議論されてきた論点である。かつては、議会内部の自律的な決定は司法審査の対象外とする部分社会の法理が広く援用され、議員の出席停止などは裁判で争えないと解されていた。しかし令和二年の最高裁大法廷判決は、出席停止の懲罰が議員の権利行使を一定期間奪う重大な不利益であることを重視し、その適否は司法審査の対象になると判断して従来の理解を変更した。一方で除名のように身分そのものを失わせる処分は従来から司法審査の対象とされてきた。自律権は議会の独立を守る原則であるが、議員個人の権利や法令適合性が問われる場面では、その及ぶ範囲が司法によって画されることを示している。

つながりのある用語

ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)