ジチテン

原子力災害対策特別措置法

読み:げんしりょくさいがいたいさくとくべつそちほう

別名:原災法
意味

原子力災害対策特別措置法とは、原子力事業者の防災体制や緊急事態応急対策の枠組みを定め、原子力災害から国民の生命・身体・財産を保護することを目的とする法律である。

原子力施設の周辺自治体が、事故時に誰がいつ何を判断するのかを定める根拠が原子力災害対策特別措置法(原災法)である。原災法は、1999年のJCO臨界事故を契機に同年制定された法律で、災害対策基本法特別法として原子力災害に特有の初動と体制を定める。原子力事業者に防災業務計画の作成や防災要員の配置を義務づけ、一定以上の放射性物質の放出など特定事象が生じた際の通報義務を課す。事態が深刻化すると内閣総理大臣が原子力緊急事態宣言を発し、国・地方公共団体・事業者を構成員とする原子力災害対策本部が設置され、施設近傍のオフサイトセンター(緊急事態応急対策拠点施設)に関係機関が参集して応急対策を一元的に行う。福島第一原発事故後の2012年改正では、原子力規制委員会の関与や原子力災害対策指針に基づく防護措置の枠組みが整理され、立地・周辺自治体の地域防災計画(原子力災害対策編)や避難計画の前提となっている。

緊急事態の段階と原子力緊急事態宣言

原災法は、原子力事業者から一定以上の放射線量や放射性物質の放出が検知されたときの通報義務を起点に、事態の進展に応じた対応の段階を定める。特定事象の通報を受けて国は情報収集体制をとり、事態がさらに深刻化して原子力緊急事態に該当すると認められると、内閣総理大臣が原子力緊急事態宣言を発する。宣言とともに原子力災害対策本部が設置され、本部長である内閣総理大臣は関係する地方公共団体の長指定公共機関に対し、避難や屋内退避などの応急対策の実施を指示する権限をもつ。施設の近傍にはオフサイトセンター(緊急事態応急対策拠点施設)があらかじめ整備され、国・自治体・事業者・専門家が一堂に会して対策を調整する拠点となる。立地・周辺自治体の担当者は、この指示と自らの避難情報発令との関係を地域防災計画にあらかじめ位置づけておく必要がある。

福島第一原発事故後の2012年改正と防護措置の枠組み

2012年の改正は、福島第一原発事故の教訓を踏まえて原子力規制委員会を新設し、同委員会が原子力災害対策指針を定めて防護措置の科学的・技術的な基準を示す体制へと再構成した。指針は、施設からの距離に応じてあらかじめ防護措置を準備する区域として、即時避難を準備する区域(PAZ、おおむね半径5キロ)と段階的な防護措置をとる区域(UPZ、おおむね半径30キロ)を設定し、放射線量の実測値(OIL)に基づいて避難・一時移転・屋内退避や安定ヨウ素剤の服用を判断する運用を定めた。これを受けて立地・周辺の自治体は地域防災計画に原子力災害対策編を設け、避難先や避難経路要配慮者の移送、住民への情報伝達を盛り込んだ広域避難計画を整備することが求められている。

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