現物給付とは、社会保障の給付を金銭ではなく、医療・介護・福祉サービスそのものや物品の形で受給者に提供する給付方式をいう。
同じ給付でも、なぜ医療は窓口で現金を受け取らず、サービスとして提供されるのか。現物給付は、受給者が必要なサービス・物品を直接受け取り、その対価を保険者や行政が事業者へ支払う方式で、医療保険の療養の給付、介護保険の介護サービス、生活保護の医療扶助・介護扶助がこれにあたる。受給者が費用を立て替えなくてよいため、低所得者や高額の医療・介護を要する者でも必要なサービスに確実につながる利点がある。これに対し、現金給付(金銭給付)は児童手当や生活扶助のように使途を受給者の裁量に委ねる方式で、給付方式の違いは事務にも直結する。現物給付では事業者が保険者・行政へ報酬を請求する仕組み(レセプト・介護給付費請求)が必要となり、給付の適正さは事業者請求の審査で担保される。償還払いとの使い分け、法定代理受領による現物給付化など、実務では給付方式の設計が制度ごとに細かく分かれる。
現物給付と現金給付の使い分け
社会保障給付は、提供する対象によって現物給付と現金給付に大別される。医療・介護・福祉のサービスや福祉用具のように、受給者が必要に応じて過不足なく受け取るべきものは現物給付が適し、生活費・養育費のように使途を本人の判断に委ねるべきものは現金給付が適する。生活保護の八つの扶助でも方式が分かれ、生活扶助・住宅扶助・教育扶助などは金銭給付、医療扶助・介護扶助は原則として現物給付である。現物給付は受給者の立替えを不要にする反面、事業者が行政・保険者へ報酬を請求する事務(医療券とレセプト、介護給付費の請求など)が必須となり、過剰なサービス提供や不正請求を防ぐ審査の仕組みとセットで設計される。
償還払いを現物給付に近づける仕組み
本来は受給者がいったん全額を支払い後から払い戻しを受ける償還払いの給付でも、立替えの負担が重い場合に、現物給付に近づける工夫が置かれる。高額療養費における限度額適用認定証の提示や、介護保険の法定代理受領(利用者は自己負担分のみ支払い、残りは保険者が事業者へ直接支払う)はその例で、いずれも受給者の窓口負担を軽くしながら給付の本体を実質的に現物給付化する。どの給付をどこまで現物給付とするかは制度ごとに異なり、医療費助成のように自治体によって現物給付方式と償還払い方式が分かれる例もあるため、対象者への案内では支払いの流れを具体的に示すことが欠かせない。
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