概算契約とは、契約締結の時点では給付に要する経費を概算額で定めておき、履行の完了後に実費を精査して支払額を確定させる契約方式である。
委託や補助に関わる事業では、人件費や旅費のように実際に動いてみなければ正確な所要額が読めない経費が含まれることがある。概算契約は、こうした費用を契約時に確定させず概算で取り決めておき、事業が終わった段階で実績に基づき精算する仕組みである。受託者は概算額の範囲で事業を進め、終了後に実費の証拠書類を添えて精算報告を行い、過不足を清算する。
支払額を契約時に確定させる確定契約と対をなす。実費精算という性質上、概算額が支払の上限として働き、超過分は原則として受託者の負担になる一方、実費が概算を下回れば差額は返還される。自治体側は精算時に実費の妥当性を審査する負担を負うため、研究委託や調査委託、人件費を伴う事業委託など、性質上あらかじめ額を固められない契約に用途を絞って用いるのが通例である。地方自治法施行令は概算払を支出の特例として認めており、概算契約はこの概算払と組み合わせて運用されることが多い。
確定契約との使い分け
自治体の契約は、契約時に支払額が定まる確定契約が原則である。概算契約はその例外であり、契約の段階では実所要額を確定できないやむを得ない事情がある場合に限って選択される。典型は、実績や実費を積み上げなければ正確な額が出ない委託、すなわち研究委託、各種調査委託、専門人材を投入する事業委託などである。物品の購入や工事のように給付内容と対価が事前に特定できる契約では、概算契約を用いる理由がなく確定契約による。安易に概算契約を選ぶと、精算事務の負担増と支払額の不確実性を抱え込むため、契約担当は確定契約で組めないかをまず検討したうえで、概算でしか組めない実質的な理由を起案に明示する運用をとる場面が多い。
精算手続と概算払の関係
概算契約では、履行完了後に受託者が実費の内訳と証拠書類を添えた精算報告を提出し、自治体が内容を審査して支払額を確定させる。確定額が既払の概算額を下回れば差額の返還を求め、上回っても概算額を支払の上限として扱うのが通例である。支出のタイミングについては、地方自治法施行令第百六十二条が概算払を認めており、事業の途中で概算額の一部を先払いし、完了後の精算で過不足を調整する運用がとられる。概算払はあくまで支出の方法に関する特例であって、契約自体の方式を指す概算契約とは区別される。両者は実務上セットで使われるが、前者は「いつ・いくら払うか」、後者は「いくらで契約するか」という別の次元の取り決めである。
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