伝統工芸士とは、伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づき、国指定の伝統的工芸品の製造に従事し、高度の伝統的技術・技法を保持すると認定された職人に与えられる称号をいう。
伝統的工芸品の産地を抱える自治体が、技の担い手をどう公的に位置づけ後継者育成につなげるか。その柱となる資格が伝統工芸士である。一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会が、経済産業大臣指定の伝統的工芸品ごとに実施する認定試験(実技・知識)に合格した職人へ与える称号で、原則として一定年数以上その工芸品の製造に従事した者が受験できる。認定を受けると、製品や名刺に伝統工芸士の表示ができ、産地のブランド価値や後継者の確保に寄与する。称号は名誉的なものであり、これがなければ製造できないという業務独占資格ではない。市区町村・都道府県の産業振興担当は、伝統工芸士の認定取得や、伝統工芸士が講師を務める後継者育成事業を支援し、産地組合(協同組合)と連携して技術の継承を図る。高齢化で伝統工芸士の数が減る産地では、若手の受験促進と認定後の活躍の場づくりが課題になる。
認定の仕組みと根拠
伝統工芸士の認定は、伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)に基づき、一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会が実施する。対象は経済産業大臣が指定した伝統的工芸品で、その製造に原則として一定年数(おおむね12年程度)以上従事した者が、実技試験と知識試験から成る認定試験を受ける。合格者は伝統工芸士として認定され、製品や事業所に称号を表示できる。称号は技術・技法の高度な保持を公的に裏づけるもので、産地全体の品質保証と消費者の信頼確保に役立つ。ただし業務独占資格ではないため、伝統工芸士でなくても伝統的工芸品の製造自体は行える。
産地振興・後継者育成での活用
伝統工芸士は、産地の技術継承と振興施策の要として活用される。産地では伝統工芸士が後継者育成事業や体験教室の講師を務め、若手職人へ技を伝える担い手になっている例が目立つ。自治体の産業振興担当は、伝統工芸士の認定取得を促す受験対策の支援、認定者を講師とする研修、伝統工芸士の作品を集めた展示・販売の機会づくりなどを、産地の協同組合と連携して進める。職人の高齢化が進む産地では伝統工芸士の数自体が減少しており、従事年数の要件を満たす若手をいかに育て受験につなげるかが、産地存続の現実的な課題になっている。称号は個人に与えられるため、認定者の引退がそのまま産地の技術力の低下に直結しやすい点も、育成を急がせる要因である。
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