電子委任状とは、法人の代表者がその役員や従業員に対し代理権を与えたことを電子的に証明する記録であり、紙の委任状に代わって電子的な手続で本人確認と権限確認を行うために用いられるものをいう。
法人が電子申請や電子入札を行う際、実際に操作するのは代表者本人ではなく担当者であることが多い。このとき担当者が「自分は会社を代理して手続する権限を持つ」ことをどう証明するかが問題になる。紙であれば代表者印を押した委任状を提出すれば足りるが、オンラインでは押印に代わる権限の証明が必要になる。電子委任状は、代表者が担当者へ代理権を付与した事実を電子的に記録し、第三者がその権限の範囲や有効性を確認できるようにする仕組みである。電子委任状の普及を促すための電子委任状法(電子委任状の普及の促進に関する法律)が整備され、国が認定した取扱事業者が電子委任状を保管・提示する形態などが定められている。自治体の電子入札や法人向けのオンライン手続で、担当者が代表者に代わって申請できる根拠として用いられる。
なぜ法人のオンライン手続で必要になるか
法人がオンラインで行政手続を行う場面では、手続の名義は法人だが操作するのは担当者という分離が常に生じる。担当者が代表者の電子証明書をそのまま使うと、退職や異動のたびに証明書を再発行する負担が生じ、誰が実際に操作したかも曖昧になる。電子委任状は、代表者の権限と担当者個人の本人確認を分離し、「この担当者は法人を代理してこの範囲の手続をする権限を持つ」ことを示す。これにより担当者は自分の電子証明書で手続をしつつ、法人の代理人であることを証明できる。GビズIDの「メンバー」アカウントのように、代表者が発行・管理する権限のもとで担当者が手続する仕組みは、電子委任状と同じ課題を解く実装の一つである。
取扱事業者と権限の範囲
電子委任状法は、電子委任状を保管し相手方に提示する事業者(電子委任状取扱業務を行う者)の認定制度を設けている。認定を受けた事業者が代表者からの委任の事実を保管し、手続の相手方である行政機関や取引先に対して権限を証明する形態が想定されている。委任状には代理権の範囲(どの手続を、いつまで、どの限度で代理できるか)が記録され、相手方はその範囲内かを確認して受け付ける。範囲を超えた手続や、委任が撤回された後の手続は無効となるため、相手方は提示された時点での委任の有効性を確認する必要がある。自治体側でこれを受け入れる場合は、どの電子委任状の形態を有効と認めるかをあらかじめ運用基準で定めておくことになる。
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