大規模災害からの復興に関する法律(大規模災害復興法)とは、東日本大震災の復興対応を教訓に平成25年(2013年)に制定された、著しく異常かつ激甚な災害からの復興を円滑かつ迅速に進めるための復興体制と手続を一般法として定める法律である。
東日本大震災では、復興のための本部設置や特例措置をその都度の特別措置法で立ち上げたため、立法に時間がかかり初動が遅れた。大規模災害復興法は、この反省から「次の巨大災害が起きたときに発動できる復興の常設フレーム」をあらかじめ用意した法律である。災害対策基本法が応急対策までの一般法を担うのに対し、本法はその先の復興段階を一般法として受け持つ位置づけになる。法は復興を要する災害を二段階で扱い、政令で指定する「特定大規模災害」(最も激甚なもの)には国の復興対策本部の設置と国主導の手続を、それに準ずる「非常災害」には市町村の事務を国・都道府県が代行する仕組みなどを用意する。特定大規模災害が政令指定されると、内閣に復興対策本部が置かれ、政府が復興基本方針を定める。被災市町村は、市街地の再編や集団移転、農地の再編などを一体的に進めるための「復興計画」を作成でき、計画に位置づけた事業については個別法の許認可手続をワンストップ化する特例(復興整備計画・復興整備協議会)が使える。被災自治体の人員不足を補うため、都道府県や国が被災市町村の事務を代行できる規定も置かれている。発動の前提となる政令指定が実際に行われたのは令和2年7月豪雨が最初であり、運用例はまだ蓄積途上にある。
なぜ常設の一般法が必要だったのか
本法の制定動機は、東日本大震災で復興のたびに特別措置法を新規立法した非効率にある。震災では東日本大震災復興基本法・復興庁設置法・東日本大震災復興特別区域法などを震災後に相次いで制定したが、復興本部の設置や事業許認可の特例といった「どの巨大災害でも必要になる仕組み」を白紙から立法したため、被災地が動き出すまでに時間を要した。大規模災害復興法は、これらの恒久的に必要な道具立て(復興対策本部・復興基本方針・復興計画・事業のワンストップ手続・事務代行)を一般法としてあらかじめ規定し、政令指定さえ行えば直ちに発動できるようにした。災害対策基本法が予防・応急の一般法であるのに対し、本法は復興段階の一般法として位置づけられ、両者で災害法制の時間軸を分担する。個別の特別措置法(被災市街地復興特別措置法など)は、本法を前提にしつつ事案ごとの上乗せを担う関係になる。
特定大規模災害と非常災害の二段構え
本法の手続は、災害の激甚度に応じた二段構えになっている点が要である。最も激甚な災害は政令で「特定大規模災害」として指定され、内閣に復興対策本部が設置されて国主導の復興が動き出すとともに、被災市町村が作成する復興計画とそれに伴う事業特例(復興整備計画・復興整備協議会によるワンストップ化)が利用できる。これに準ずる規模の「非常災害」が政令指定された場合には、復興対策本部の設置までは行わず、被災により事務の実施が困難となった市町村に代わって都道府県や国が応急的な事務(道路・河川等の災害復旧や廃棄物処理など)を代行できる規定が中心となる。いずれも発動の起点は政令指定であり、指定がなければ本法の特例は働かない。政令指定の第一号は令和2年7月豪雨で、その後の運用で本法の手続が実地で動かされ始めている。被災自治体の実務では、自らの被災状況がどの段階の指定要件に当たるか、復興計画やワンストップ特例をいつ使えるようになるかを早期に見極めることが要点となる。
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