中小企業憲章とは、中小企業を経済を牽引する力かつ社会の主役と位置づけ、中小企業政策の基本的な考え方と国の行動指針を示した文書である。2010年6月18日に閣議決定された。法律ではなく、政府の政策理念を表明する性格を持つ。
中小企業を景気の調整弁や大企業の下請けとしてではなく、地域の雇用と暮らしを支える主役として正面からとらえ直す——中小企業憲章は、こうした政策の基本姿勢を政府として明文化したものである。前文は「中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役である」と宣言し、基本理念・基本原則・行動指針の三部で構成される。
法律ではなく閣議決定による文書であるため、それ自体に新たな権限や予算を生む拘束力はない。とはいえ、中小企業基本法や各種支援施策を貫く価値判断の拠りどころとして、国や自治体が中小企業振興の方針を示す際にしばしば引かれる。憲章の理念は、地域の中小企業を地域社会の主役と位置づける中小企業振興基本条例の制定が各地で広がる動きとも響き合った。自治体担当者にとっては、施策の根拠となる法令そのものではなく、その背後にある政策思想を確認するための文書という位置づけになる。
法律ではなく閣議決定であることの意味
中小企業憲章は2010年6月18日に閣議決定された政策文書であり、国会の議決を経た法律ではない。したがって、それ自体が直接に権利義務や罰則、予算措置を生むわけではない。位置づけとしては、中小企業政策の理念と国の行動の方向を内外に示す宣言であり、前文・基本理念・基本原則・行動指針から成る。前文は「中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役である」と述べ、中小企業を経済政策の中心に据える姿勢を打ち出した。実際の制度は中小企業基本法をはじめとする個別の法律と予算が担うため、憲章は施策を貫く価値判断の拠りどころとして参照される。法令の条文を探しても見当たらないのはこのためで、根拠を求める際は閣議決定そのものに当たる必要がある。
中小企業振興基本条例との関係
憲章が中小企業を「社会の主役」と位置づけた理念は、地方での中小企業振興基本条例の制定が広がる動きと重なった。中小企業振興基本条例は、地域内の中小企業を地域経済・地域社会の担い手と位置づけ、自治体・事業者・住民の役割を定めて振興を進める理念条例で、国の憲章に呼応する形で各地に広がった。憲章が国レベルで示した政策思想を、自治体が地域の実情に合わせて条例という形で具体化した関係といえる。自治体の中小企業振興担当者にとっては、憲章は国の政策スタンスを、条例は自地域の取組の枠組みを示すものとして、両者を併せて押さえる対象となる。
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