地域新電力とは、自治体やその出資する会社が中心となって設立し、域内で発電された再生可能エネルギー等を地域内の需要家へ小売供給する電力事業者をいう。
電力小売が全面自由化されたあと、自治体は域外の大手電力に支払ってきた電気料金を地域内で循環させられないかと考える。地域新電力は、その受け皿として設立される小売電気事業者である。地元の太陽光発電やごみ焼却施設の発電を電源に取り込み、公共施設や家庭へ供給することで、エネルギーの地産地消と資金の域内還流を同時に狙う。収益の一部を子育て支援や見守りサービスへ充てる事例もあり、単なる電力販売にとどまらない地域経営の手段と位置づけられることが多い。一方、卸電力市場の価格高騰に耐えられず撤退・破綻する例も相次いでおり、電源の確保と需給管理の体制が事業継続の分かれ目となる。
設立形態と自治体の関与
地域新電力の多くは、自治体が出資する第三セクターや、地元企業・金融機関と共同で設立する株式会社の形をとる。自治体が筆頭株主となる場合もあれば、ノウハウを持つ電力アグリゲーターと組んで運営を委託する場合もある。電力を供給するには小売電気事業者として経済産業省への登録が必要で、需要家への供給責任(同時同量の達成)を負う。自治体が直接の小売事業者となる例は少なく、出資と政策的バックアップで関与する形が一般的である。公共施設の電力調達先を地域新電力へ切り替えることで、設立初期の安定した需要を確保する手法がよくとられる。
電源確保と経営リスク
地域新電力の生命線は電源の確保である。自前の発電設備が乏しい場合、不足分を日本卸電力取引所(JEPX)から調達するが、燃料価格の高騰時には市場価格が小売価格を上回り逆ざやが生じる。2021年度以降の市場価格高騰では、市場依存度の高い新電力が相次いで事業を停止した。これを避けるため、地域の太陽光・小水力・バイオマスや清掃工場の余剰電力を長期契約で押さえ、市場調達の比率を下げることが経営安定の鍵となる。需給管理(バランシング)業務を外部に委託するか自前で持つかも、コスト構造を大きく左右する。
ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)