着手届とは、工事請負契約を結んだ受注者が、実際に工事へ取りかかる前に着手の事実と予定を発注機関へ届け出る書面をいう。
契約を締結しただけでは発注機関は受注者がいつ現場に入るのかを把握できず、監督や工程管理を始める起点も定まらない。着手届は、この起点を発注機関に知らせるために受注者が提出する書面で、工事請負契約約款や発注機関の契約事務規程が提出を義務づけている。記載するのは着手年月日、現場代理人・主任技術者または監理技術者の氏名、連絡体制などで、契約後の所定の日数以内に提出するよう約款で期限が定められていることが多い。実務では、着手届を施工計画書や現場代理人・配置技術者の通知書とまとめて提出し、これらを受けて監督員が施工計画の内容を審査し、工事の監督体制が立ち上がる。着手届の日付は、工期の起算や前払金の請求、工程管理の基準となるため、契約上の重要な節目を画する書面として扱われる。
着手届が画する契約上の節目
着手届の提出は、単なる事務連絡ではなく、契約の履行が現実に始まったことを記録する行為である。工事請負契約約款は、受注者に契約締結後の所定の期間内に工事へ着手する義務を課したうえで、着手にあたって着手届の提出を求めるのが通例で、提出が遅れれば履行遅滞の問題につながりうる。着手届に記す着手年月日は、工期の起算点を確定させるとともに、前払金の請求や工程表に基づく出来高管理の基準時となる。あわせて提出される現場代理人・主任技術者または監理技術者の通知によって、受注者側の現場の責任体制が発注機関に対して明らかになり、発注機関はこれを前提に監督員を配置して監督体制を整える。着手届の日付と工期、各種届出の整合が取れていないと、後日の検査や監査で指摘の対象になりうるため、契約事務の起点として正確に記載しておく必要がある。
つながりのある用語
関連
ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)