ジチテン

分離発注

読み:ぶんりはっちゅう

意味

分離発注とは、一件の工事を建築・電気・機械設備などの専門工種ごとに分け、それぞれを別個の契約として発注する方式をいう。

大きな建設工事を元請一社にまとめて発注すれば事務は楽だが、専門工事業者は下請に回り、利益が中間で吸収される。分離発注は工事を専門工種ごとに切り分け、各工種を直接その専門業者に発注する方式で、中小・専門業者が元請として受注する機会を広げる。官公需確保法が掲げる中小企業者の受注機会拡大の具体策として、国や地方公共団体に推奨されてきた。

この方式は中小企業振興の効果が大きい一方で、発注者の負担を増やす。複数の契約を並行して管理し、工種間の取り合いや工程の調整を発注者自身が担わなければならない。一社に一括発注すれば元請が引き受ける施工管理・調整の責任を、分離発注では発注者が背負うことになる。発注者の技術的な体制が整わなければ、かえって工事の品質や工程に支障が出る。

分離発注は、随意契約基準の潜脱を狙う違法な「分割発注」としばしば混同されるが、両者は目的も適法性もまったく異なる。分離発注は工種が本来別であることに根拠を持つ正当な手法であり、競争入札を回避するために一件を細切れにする分割発注とは区別される。

一括発注との費用・責任のトレードオフ

工事の発注方式は、一社に丸ごと任せる一括発注と、工種ごとに切り分ける分離発注の間で選ばれる。一括発注では元請一社が全工種の施工管理・工程調整・安全管理を引き受け、発注者の事務は軽い。代わりに専門工事業者は下請の立場に置かれ、元請の利益や経費が中間に乗る。分離発注では、各専門工種が元請として直接契約するため中間経費を圧縮でき、中小・専門業者の受注機会が広がる。半面、発注者が複数契約の管理と工種間の調整・取り合い処理を自ら担うため、発注者側に相応の技術力と体制が要る。どちらを採るかは、工事の規模・特殊性・発注者の執行体制を見て判断される。

違法な分割発注との線引き

分離発注は、随意契約基準を潜脱する違法な分割発注と外形が似るため、線引きが実務上の論点になる。判断の核心は分ける根拠にある。建築・電気・空調といった工種が本来別個の専門性を要し、それぞれを専門業者に発注することに合理性があれば、正当な分離発注である。これに対し、本来一体で発注すべきものを、随意契約の上限額以下に収めて競争入札を避ける目的だけで細切れにすれば、潜脱目的の分割発注として原則禁止される。同じ「分けて発注する」行為でも、専門性に基づく正当な分割か、金額調整のための恣意的な分割かで適法性が分かれる。

つながりのある用語

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