買収とは、公職選挙法が禁じる選挙犯罪の一類型で、投票や選挙運動をさせる目的で選挙人や運動員に金銭・物品その他の利益を供与し、またはその供与を約束する行為をいう。
金銭や供応で票を集める行為はどこからが犯罪になるのか。買収は公職選挙法が定める選挙犯罪のなかでも中核に位置し、選挙の公正を直接損なう行為として最も重く扱われる。利益を渡した側(供与)だけでなく、受け取った側(受供与)、両者を仲介した者も処罰の対象となり、未遂や約束の段階でも成立しうる点に特徴がある。供与される利益は現金に限らず、飲食の提供(供応接待)、就職のあっせん、債務の免除なども含まれ、選挙人の自由な意思を金品でゆがめる行為が広く捕捉される。買収は連座制の対象犯罪でもあり、候補者本人が関与していなくても、総括主宰者・出納責任者・親族・秘書等の一定の関係者が買収で刑に処せられると、候補者の当選が無効となり、同一選挙区での一定期間の立候補が禁じられる。買収で刑に処せられた者は公民権停止により選挙権・被選挙権を一定期間失う。選挙管理委員会や候補者の事務担当は、陣中見舞い・寸志・労務への対価などが買収と評価されないよう、金品の授受の線引きを事前に確認する場面が多い。
買収の成立範囲と関連する罪
買収罪は、供与・約束をした側だけでなく、利益を収受した選挙人・運動員(受供与)、両者の間に立った者(交付・周旋)まで広く処罰する点に特徴がある。供与の対象となる「利益」は現金や物品に限られず、公私の職務の供与、債務の弁済や免除、その他財産上の利益一般に及ぶため、選挙人の意思を金品で動かす行為が類型を問わず捕捉される。飲食物の提供による供応接待は買収と並ぶ独立の類型として規定され、選挙運動に関して特に厳しく規制される。これらは選挙の公正を根幹から損なう行為であることから、戸別訪問の禁止違反や事前運動の禁止違反といった他の選挙犯罪と比べても法定刑が重く設定されている。
連座制・公民権停止との結びつき
買収は連座制の中心的な対象犯罪である。候補者本人が直接手を下していなくても、総括主宰者・出納責任者・地域主宰者・候補者の親族・秘書など一定の関係者が買収罪で刑に処せられ刑が確定すると、候補者本人の当選が無効となり、当該選挙区において一定期間(原則5年)立候補が禁止される。これは買収という選挙犯罪を陣営ぐるみで抑止させるための制度である。また買収で刑に処せられた本人は、公民権停止により選挙権・被選挙権が一定期間停止される。選挙の実務では、陣中見舞い・寸志・運動員への弁当や日当が法の認める実費弁償の範囲を超えると買収と評価されうるため、金品の授受についてあらかじめ選挙管理委員会へ相談し、適法な範囲を確認しておく場面が多い。
つながりのある用語
関連
ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)