ジチテン

売買契約

読み:ばいばいけいやく

意味

売買契約とは、売主が財産権を買主に移転することを約し、買主がその代金を支払うことを約する契約であり、民法第555条に定める典型契約の一つである。

自治体が物品を買うとき、その契約は工事の請負と何が違うのか。物品調達の根幹をなすのが売買契約で、目的物の所有権が売主から自治体に移ることを本質とする。仕事の完成を目的とする請負契約とは性格が異なり、調達の対象が「完成された物の引渡し」であれば売買、「成果物を造り上げる役務」であれば請負として、計上する予算科目も適用する契約条項も切り分ける。

自治体の物品調達では、備品・消耗品・機器類の購入が売買契約に当たり、需用費や備品購入費などの節から支出する。地方自治法第234条に基づき、原則として一般競争入札によって相手方を決定し、予定価格の制限内で最低価格を提示した者と契約する。引渡しを受けたら、検収によって品名・数量・規格が仕様どおりかを確認したうえで代金を支払う。

令和2年施行改正民法により、従来の「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」へと再構成された。引き渡された目的物が種類・品質・数量について契約の内容に適合しない場合、買主である自治体は追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・契約解除を行える。物品の購入か役務の調達かによって責任の構成が変わるため、契約書の作成段階で売買と請負のどちらに当たるかを見極めておく。

売買と請負の切り分けと予算科目

調達の対象が売買契約か請負契約かは、目的物が「既製の物の引渡し」か「仕事の完成」かで判断する。市販の机や既製のソフトウェアを購入するのは売買、仕様に基づいて造作家具を製作させたり庁舎を建設させたりするのは請負である。製作物供給契約のように両者の性質を併せ持つ契約もあり、その場合は完成・引渡しの局面で売買、製作の局面で請負の規律が及ぶと解される。予算科目では、物品の購入は需用費(消耗品費・印刷製本費等)や備品購入費から、工事の請負は工事請負費から支出するため、契約の性質の見極めが節の選択に直結する。地方自治法施行令第167条の2は随意契約によることができる場合を限定列挙しており、少額の物品購入はこれに該当することが多い。

契約不適合責任と検収

令和2年4月施行の改正民法は、目的物が契約の内容に適合しない場合の売主の責任を「契約不適合責任」として整理した。引き渡された物品が種類・品質・数量に関して契約に適合しないとき、買主たる自治体は、修補や代替物の引渡しを求める追完請求、不適合の程度に応じた代金減額請求、損害賠償請求、契約解除を選べる。これらの権利を保全する実務上の要が検収であり、納品時に品名・数量・規格・性能が仕様書どおりかを検査職員が確認し、検査調書を作成する。不適合を知った時から原則1年以内に売主へ通知しなければ追完等の請求ができなくなるため、検収を形式に流さず確実に行うことが代金の適正な支出を担保する。

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