明渡裁決とは、収用委員会が土地収用の手続きにおいて、収用する土地の明渡しや物件の移転の義務を負う者・移転の期限・これに伴う損失補償を定める裁決である(土地収用法第47条の2)。
権利取得裁決で土地の権利が起業者に移っても、実際に建物や立木が残ったままでは事業に着手できない。明渡裁決は、その土地を誰が・いつまでに明け渡し、地上の物件を移転すべきかを確定する判断である。権利取得裁決と対をなし、占有の現実の移転に関わる事項を扱う。明渡しの期限までに義務者が応じない場合には、行政代執行による強制的な明渡しに進みうる。物件の移転に要する費用の補償もこの裁決で定められる。用地取得の最終局面で、任意交渉が決裂した物件を事業用地として現実に確保するための、収用手続きの締めくくりとなる処分である。
明渡裁決が確定するもの
明渡裁決は、土地収用の手続きで土地の現実の引渡しと物件の移転を確定する裁決である。収用委員会は、明渡しや物件移転の義務を負う者、その明渡し・移転の期限、そして移転に伴う損失補償の額を裁決で定める。権利取得裁決によって起業者が土地の権利を取得しても、そこに建物・工作物・立木などが存在すれば事業に着手できないため、これらを誰がいつまでにどかすかを別途確定する必要がある。明渡裁決はこの占有移転の局面を担い、権利の移転を扱う権利取得裁決と組み合わさって、収用による用地確保を完結させる。
期限到来後の強制と代執行
明渡裁決で定められた明渡しの期限までに義務者が土地を明け渡さない場合、起業者は都道府県知事に対し行政代執行による明渡しの代行を請求でき、知事の代執行によって強制的に明渡しが実現される。これは私有財産の強制的な取得という収用制度の実効性を最終的に担保する手段であり、補償が適正に支払われていることを前提に行われる。実務では、補償交渉が決裂した物件について、土地調書・物件調書の作成、収用裁決の申請、権利取得裁決と明渡裁決という順で進み、明渡裁決がその締めくくりに位置する。物件の移転費用や営業補償などの補償項目も明渡裁決の中で確定され、所有者・関係人の生活再建への配慮が問われる局面でもある。
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